君の指先 握り締めてはみたものの 実は 大きな事は何も言えないんだ 責めるなら ハートを #3 純情可憐な支離滅裂 コンコン 軽いノックが成された扉を、ベットに寝転がり雑誌から目を離さないままフレッドは「開いてるよー」とだけ言った それでも扉を開けようとしない深夜の訪問者にジョージは熱いコーヒーが入ったままのマグカップをもってその扉を開けた 「誰だい?」 「ぁ、ぇ、ジョー、ジ?」 「ハリー?!」 予期しない訪問者にジョージはマグカップを取り落としそうになり、フレッドはページをまくろうとした手を勢いつけてしまいそのページ自体を破ってしまった ジョージはジョージで手の上に零れた熱いコーヒーに騒いでいて、その奥にいたフレッドは借り物の雑誌なのか「やべぇ怒られるっ」と喚いていた 「え、と。あの、取り込んでるんなら、僕出直すけど…」 「や、や、平気さ。それより、ここじゃなんだから」 そぅいってハリーの左斜め前に立ち部屋への道を開けるジョージにハリーは手を横に振って 「あ、いや、ココで、いいんだ。ぁの、…お礼、いいたくて」 「礼?」 いつの間にかジョージの傍にいたフレッドが覗き込むようにハリーを見た 薄い明かりしか灯されていない所為か、2人の顔がよく見えなかった 「ロンから聞いたんだ…落ちたとき、助けてくれたのが君らだって」 「そぅいえば、もぅ大丈夫なのかい?」 「うん、だから、ぁの………有難う、助けてくれて」 フレッドはどこか照れた様に言うハリーの頭に指を差し入れて、クシャクシャと撫でてやる 「「どぅ致しまして」」 ニコリと笑って言う双子にハリーはもぅ一度はにかんだ笑顔で笑って、じゃぁ、といってその場から立ち去ろうとする それを予期していたのか、フレッドは撫でていた手をハリーの頭から肩に移動させそのまま自分の胸へと引き寄せ近くにあったソファに押さえつけた。ジョージはハリーが出て行こうとした扉をすぐさま閉じるとハリーが逃げられないよう鍵をかけてしまった。 「病み上がりのとこ悪いんだけどさ」 「僕達ちょっと君に聞きたい事があったんだ」 ニコリと笑いながらハリーを座らせたソファの両端にそれぞれ腰を下ろすと、ジョージは前にある丸テーブルに持っていたマグカップを置いた 「な、何、」 「ハリー、君僕らの事避けてたね?」 「しかもココ最近ずっと」 一瞬ビクリと、ハリーの身体が揺れた ジョージはそんなハリーを怯えさせないように、その髪に指を差し入れ優しく梳いた 「君が最近寝られない理由と、何か関係あるのかい?」 「何で知って…っ」 「見てれば判る」 すぐさま相槌をうったジョージの言葉に、ハリーは顔が赤くなるのを感じた いつも一緒にいるハーマイオニ−ならまだしも、この2人にまでバレテしまっていたなんて。恥ずかしさで顔から火がでそぅだった 「ハリー僕ら君に何かしたかい?」 「何かしたなら謝るよ。君が眠れない程に君を苛んだ事を、キチンと謝罪する」 「っ、違、っ違うんだ」 目をギュっ、と瞑って顔をより一層赤くしながらハリーは2人の言葉を否定した ハリーの小さな手のひらが拳の形を作り震えてるのを見たジョージは、髪を梳いてるのとは別の指でハリーの手を包んだ 何も言わず唯ハリーの言葉の先を待ってる様な二人にハリーは俯いていた顔を更に下に向かせて、その薄い唇を僅かに震わせながら言葉を紡いだ 「…………ぃんだ」 「「え?」」 ポツリと呟くようにいったハリーの声を聞き逃し、2人はハリーを覗き見るように、その口元へ耳を近づけた 「………怖いんだ…」 「…何が?」 ジョージが、優しくハリーの髪を梳きながら続きを託す フレッドは、ただ黙ってその肩を抱きハリーの横顔を見つめていた 「…ココにいると、楽しすぎて…怖い」 「…何で、楽しすぎると怖い?」 「……今まで…当たり前だったあの家に、戻るのが怖い…」 ギュ、とハリーが強く拳を握るのが判った 一度しった天国は、地獄に戻った時更なる衝撃でこの胸を苛む それは今までの比にならないくらいの衝撃 コチラにいる時間が長ければ長いほど 楽しければ楽しいほど、戻った時の悪夢は酷い 夏休みが終ったばかりの今だからこそ、余計にそぅ思う ココで、楽しく時を過ごしてはならない ココで、夢ばかり見ててはならない あの家に戻った時過ごす日々が、ホグワーツの憧憬にも勝る苦痛になるから ハリーの言葉に、フレッドは去年の夏を思い出していた ほぼ監禁まがいな事をされ、日の光をまともに浴びる事さえなくただ急激に襲い来る孤独といくつもの夜を過ごした筈の子供 精神肉体共に痩せ衰えていて、その姿をこの目にした時は思わずこちらが泣きだしそぅになった程だ。 顔をあげると、ジョージも同じ事を思い出していたのか、その顔に比ではない陰影を落としていた 「ハリー…」 「この間、夢で、見たんだ。ダーズリ―の家に戻った夢を」 「………」 「最悪だった。凄い悪夢だった。死んだ方が…ましだとさえ思ったよ。 …それから…寝るのが、怖い」 小さい頃から心に負った傷は、世界を知れば知るほど大きくなっていく たとえ他の傷にまじって見えなくなってしまっても、身体と一緒に深く、大きくなっていく その深さを、大きさを、本人以外誰が理解できるというのだ フレッドはそんなハリーの髪に顔を埋め、ジョージはその小さな手のひらに口付けを施した 「ハリー、君が苦しい時は、きっと助けにいくから」 「だから、そんな事言わないでくれ」 それでもハリーに、その傷をまざまざと実感させる様な事はさせたくなかった たとえ、自分たちの我侭でも、彼には笑っていて欲しいと思う 自分よりも悲痛な顔をしてハリーを見る2人に、ハリーはずっとために溜めてきた涙をその頬に幾つも滑らした 「っ、そんな事言ったって結局、結局何もしてくれないんだろ!!」 突如甲高い叫び声と共に2人の手を払ったハリーに、2人はただ驚いてその目を見張った 初めて目のあたりにした、それはハリーの奥底の感情だった 「もぅ嫌なんだ!!誰かに期待するのも!夢を見るのも!!」 涙が幾つも滑る頬を隠す様に、左手を顔に覆って悲痛な声で泣き叫ぶ 心臓を鷲掴みされる様な痛さが2人の胸を襲った 「どーせ最初から助ける気なんてないなら、何も言ってくれない方がまだマシだ!!」 中途半端に期待させられて、あっけなく裏切られたと判った時 助けを期待していなかった時の、それは何十倍もの深さと大きさでこの傷を抉っていく その時の痛みは、きっとあの夢の比にもならないだろぅ ヒクリ、と喉を鳴らしながらただとめどなく涙を零すハリーに、今まで黙って聞いていたジョージは包むように重ねていたハリーの手をハリーが拳を握れなくなるくらい強く掴み、フレッドはハリーが自らの顔を覆っていた手を無理やり掴んで引き剥がした ハリーの手を折れそうな程握り締めたフレッドのその顔は、きっと今までも、これからも一生見ることがないくらい険しく、厳しい表情だった 「…助ける気ないなんて、誰が決めたんだよ」 低く、ともすれば冷たい響きにもとれるその声 「それは、僕達が決める事だハリー」 フレッドの厳しい顔とはまた違う、冷たい表情でハリーを見据えてジョージはそぅ言った その怒気を孕んだ様な静かな声に今にもハリーの手を離してこのままその扉を開けてでていってしまいそぅな雰囲気を持った二人は、けれどハリーの手を離す事などせず逆に痛々しい指の痕がつくほどその腕と手ををきつく握り締めた 「例え君が嫌がったって、無理やり浚っていってやる」 初めてちゃんと差し伸べられた、それは救いの手だった 「〜〜〜〜ッッ!!」 ボロボロと先程と比ではないくらいの大量の涙を零しながら、ハリーは息を何回か詰まらせてその頬を耳まで真っ赤に染めた そんなハリーに2人は柔らかい笑みを送って、それぞれが手にしていたハリーの腕や手を、優しく包みなおした それからハリーの右頬を滑る涙を指で拭ってやりながら、ジョージはハリーのかけている眼鏡を外すとそのまま涙で濡れたハリーの唇へ自分のそれを重ねた 「声を殺して泣く事も、もぅしなくていいんだ」 ハリーの左頬を滑る涙を、同じように指で拭ってやりながら、フレッドは今しがたジョージが重ねたそれへと唇を寄せた 「ハリー、君に泣かれると困るな。どーしたらいいか、判らない」 クスリ、と笑ってそんな事を言うフレッドに、隣から「全くだ」というどこか苦笑いを含んだ困ったような声が返ってくる ハリーはそんな2人に泣き笑いな表情を浮かべると、ジョージが優しく髪を梳く指先に誘われて、久しぶりの深い眠りについてしまった 「…ハリー…?」 「寝ちゃった…?」 「…みたいだね。…でも、良かった」 ジョージは言うと、そのままソファからハリーを抱き起こし、自分のベットへと横たわらせた 眼鏡を傍にあるテーブルに置き、布団を肩までちゃんとかけてやり、漆黒の様な黒い髪を梳きあげおでこに口付けを施した それを見たフレッドが文句を言おうとしたが、あまりにも安心しきったハリーの顔にそれすらも失せて、自分も涙の痕が生々しく残るその頬に唇を寄せた 「さっきのさ」 「ん?」 とりあえずは一段落ついてジョージが冷め切っていたコーヒーを温めなおそうと杖をとった時、フレッドがハリーを見やりながら聞いた 「キス、しただろ僕ら」 「あぁ」 「ハリー、もしかして唯の慰めとか、そーゆー系のキスだと思ってない?」 「………」 人の心には人一倍鈍感な彼が、この特別な感情をそぅ簡単に認識するとは思えない 特に、そっち方面に関しては、だ フレッドとジョージは顔を見合わせて嫌そぅに笑うと、本日既に十回は越えているだろぅ溜息の数に、プラス1をした 「ま、そぅ易々と落ちてきてはくれないとは判っているけどさ」 あまりにも鈍感な彼に、違う意味でダーズリ―一家を呪いたくなるな、と思った 「それから」 「まだ何か」 落ち込みそうになった気分を熱くなったコーヒーと一緒に流し込んで、ジョージは鬱陶しげにフレッドを見やった 「結局僕ら、ハリーに何で避けられていたのか聞いてないな」 「……まぁ、判るけどね」 「でも、ハリーの口からは聞いてないだろ?」 ニヤリと意地の悪い笑みを耐えたフレッドに、ジョージもニヤリ、と笑い返して。 明日の朝可愛く頬を染めるハリーを想像して、朝を待ち遠しく思った その後ハリーが寝ているベットで一緒に寝ようとしたジョージにフレッドが喚いて、結局1人で寝るには広く3人で寝るには狭すぎるシングルベットでハリーを挟んで3人川の字で寝ることになった 「んー…ん…」 眩しい光から目を逸らす様に顔を背けると、額に暖かいものがあたった あまりにもの気持ちよさにハリーはそれに擦り寄ると、後ろからギュ、と誰かに抱きしめられた。そのすぐ後に前からも肩に腕を回され、頭を抱きしめられた。有り得ない展開に驚いて一気に覚醒したハリーは、目の前に赤いものが揺らいだのを視界いっぱいに捉えた 「んん〜…」 後ろから聞こえたきた声にどーにか振り返ると、自分の腰に腕をまわしきつく抱きしめてくる双子の片割れがいた 寝てるこの状態では、どっちがどっちだが判る筈がない 起きてる時でさえ発する科白で判別がつくか否かなのに とりあえず双子に挟まれて挙句の果てには抱きしめられているこの状態をどーにかしようとハリーは考えたが、如何せん挟まれているこの状態だ。 前から逃げれば後ろがきつく抱きしめてくるし、後ろから逃げれば前から抱きしめられる 観念してもぅ一度寝てしまおうかと考えた頃、目の前の赤い髪が大きく揺れるのが見えた 「ファ…ァ、」 大きく欠伸をしてハリーの肩から腕を離した彼はその手で目をゴシゴシと擦ってベットに寝たまま大きく伸びをした そして横にいるハリーが起きているのに気づくと、ニコリと笑いかけて「おはようハリー」といってその唇を昨夜と同じように奪った 「ぇ、ぁ、と、ジョー、ジ?」 「イエス・サー。本日のお目覚めは如何です?」 クスリ、と笑ってジョージはハリーの鼻を摘んだ 「な、なんす、」 「良く眠れたかい?」 「…お陰様で」 ジョージの指をはずし照れた様に頬を赤くしてハリーが答えたその時 「…ッんーっ、…ぁ〜…」 ノソッ、と寝ぼけたままのフレッドが起き上がり、眠たそうに目を擦った その後おおきな欠伸を隠しもせずかました後、起きているハリーに気づいたフレッドは、ジョージの方を向いているハリーをこちらにむかせ、ジョージとこれまた同じように「おはようハリー」と言ってその唇をふさいだ そんなジョージやフレッドの行動に未だドキドキする心臓を叱咤してハリーは「おはよう」とだけ答えた そんなハリーの様子に、きっと今のもただの朝の挨拶だと思われてるなと2人して思いつつ。 そんな微妙和やかな時間が過ぎた時、突然ハリーが「あーーーーーーっっ!!」と思い出したように叫びだした あまりもの大声に2人はびっくりして、ハリーに声をかけることもできなかった 「ヤバ…どぅしよう…僕」 「ハリー?」 ハリーの尋常ではない様子に、ジョージとフレッドは見る見る青ざめていくハリーを覗き込むように見やった 「どぅしよう、僕、僕昨日病棟から抜け出してこっちに着たんだ。すぐ戻ろうと思って…」 「なんだって?!」 「ベット、一応枕を中に隠して、一見しただけじゃ判らないようにしてきたんだけど…朝になったら先生、起しに来るよね…」 サーッと顔の血の気が引いたのが、自分でも判った 双子はそんなハリーをよそに、ヨシ、と傾いて 「ハリーこっちだ」 「え、え?」 ジョージが未だパジャマのままで、ハリーの腕をとった 「まだマダム・ポンフリーは君を起しにきていないかもしれない」 「で、でもどっちみち戻る途中で見つかっちゃうよ」 フレッドが横に並び、3人してそっと部屋を後にした 「そこら辺はご安心を。僕らを誰だと心得る?」 「フィルチだって知らない抜け道くらい、ちゃんと確保してるよ」 「それに僕らには、悪戯の女神がついている」 「そぅそぅ。それも4人。さ、こっちだ」 顔を見合わせてウインクをよこす二人に,ハリーは頭の上に?マークを並べ立てながら音をたてないよう急いで「太った婦人」の穴を抜け出した 「4人?何で?」 「今はまだ秘密だよハリー」 「時がくれば君にも教えるよ」 それでもただ笑うだけの二人に、ハリーは「まぁこの2人の事だからまた何か裏があるんだろぅ」と納得し黙って二人が指差す方向へとついていった その後数分もしないうちに誰にも見つからず遠く離れた自分のいるべき病室の扉の前にきた時は流石のハリーもどぅやったらこんな道知ることができるんだと思ったけれど。 どこまでも頼りになる2人を目の前にハリーは「有難う」と笑って、病室の扉に手をかけたその刹那。 「ハリーッ!!」 マダム・ポンフリーの甲高い叫び声が3人の耳を貫き通った その声にハリーはヤバイ、という顔をし フレッドは「遅かったか」と顔をしかめ ジョージは「バレバレだったな」と肩をすかした 「どぅ言う事ですかハリ―!!朝貴方の様子を見にきたらベットはもぬけの殻!枕がその場所を占領していて微かな温もりさえも残っていない!!一体いつからぬけだしていたんですか!あれほど大人しく寝ていなさいと言ったのに…!!」 喉が枯れるくらいの大声を張り上げてハリーを怒鳴るマダム・ポンフリーにフレッドとジョージはそーッとその場から立ち去ろうとしたが、マダム・ポンフリーはギロ、と2人を睨みつけ 「そこの2人!!」 「「ハイ!」」 マダム・ポンフリーの厳しい呼びにフレッドとジョージは姿勢の正しい気をつけをしてマダム・ポンフリーの前に固まった どぅやらホグワーツ1の悪戯仕掛け人でも、この校医には弱いらしい 「もしかするとは思いますけど、貴方達がハリーを連れ出し」 「違います先生!!僕が、僕が勝手に抜け出したんです!!」 あらぬ疑いをかけられた二人を前にハリーは先生に飛びつかんばかりの勢いで答えた 勝手な我侭だったなのに折角肉体精神共に助けられて、ココまで見つからないように送ってくれた2人を、疑わせることなんてしたくない そんなハリーの剣幕にマダム・ポンフリーは少しビックリしたようだった それから、縋る様な目で見てくるハリーにひとつ、溜息をついて 「…判りましたハリー。貴方の言う事を信じましょう。それにどぅやら…」 そこまで言うとマダム・ポンフリーはチラリと双子を見やって 「この2人に言うのはお説教ではなく感謝の言葉らしいわね。顔色が随分よくなってるわハリー。」 そぅいって微笑むと、ハリーの顔を覗き込んだ 何とかお咎めはなかったものの、それでも言いつけを破ってベットを抜け出した罰に安静をとってもぅ一日泊る様にマダム・ポンフリーは言った それがマクゴガナルに言わない最低条件だと。 その後「また後で見舞いに来るよ」とだけ言ってフレッドとジョージは病室をでていった ハリーはと言うと、マダム・ポンフリーによって無理やりベットに横たわされ、しかしやっと戻った心の平穏を2人に感謝しながら、ココ最近ずっと寝ていなかった分を取り戻すかのように深い眠りについた 「「あ」」 「…避けてる理由、聞くの忘れた」 「…そりゃあんなドタバタ騒ぎがあればね」 病棟から抜け道を通って部屋に戻る途中、2人は照らし合わせたかのように同じタイミングで呟いた 「まぁ、ハリーも元に戻った事だし、時間はいくらでもあるさ」 「そぅだな…それにそーゆー話はゆっくり聞きたいし」 「ゆっくり問い詰めたいの間違いじゃないのかい?」 ジョージは意地の悪い笑みをたえた口でフレッドの科白の揚足を取ると、フレッドも同じようにニヤリ、と笑って。 「そうともいう」 とだけ呟いた 「ハリー?」 小さくノックした扉をソロリと開けて、ハーマイオニ−とロンは返事の無いベットへと歩み寄った ベットには、規則正しい寝息を立てて枕を抱き締めるように眠るその人。 顔色は、目にみて判る程よくなっていて、2人は顔を見合わせて静かに笑うと病室を後にした 「良かった。ハリー顔色がよくなってたわ」 「しかし一体何が原因だったんだろぅ」 「…さぁ、それは流石に判らないわね」 あ、と思い立ったようにハーマイオニ−がロンを指差した 「な、何だよ」 「ハリーが戻ってきた時、『何で眠れなかったんだ?』なんて事は聞いちゃダメですからね」 「…なんでさ」 「馬鹿ね。判らないの?ハリーがずっと眠れなかったのは精神的なものの所為よきっと。それが解決したのかどぅかなんて判らないけれど、精神的問題はとてもデリケートなのよ。例え私達が友達だからってそれにズカズカ足を踏み入れるなんて事、しちゃいけないの。もし私達に聞いてもらいたいのであればハリーが自ら話してくれる筈だもの」 いいわね?と念をおしてくる彼女に、ロンは頬を膨らませながら「君って随分大人なんだね」とだけ言った それにハーマイオニ−は一呼吸おいてから、ロンに聞こえるか聞こえないかの声で「……上辺だけよ。…本当は、知りたくてしょうがないわ」とだけ呟いた その日の夕方、授業も終わりに終った時分、ハリーも寝すぎて逆にダルイ体を起しながらマダム・ポンフリーが持ってきた胃に優しそうなオートミールと菜食重視の夕食にありついていた。 「もぅ大分体調も顔色もよくなったわね、明日の朝には寮の方に戻ってもいいわ」 「ハイ」 脈を取りながらそぅ言ったマダム・ポンフリーはハリーの額に手をあてて熱がないかを計ってから病室を後にした その後に双子を含むクィディッチのメンバーがハリーを訪れにきてくれた ウッドは双子がハリーをどぅ助けたかロンより詳しく大げさに脚色して説明して2人を褒め称えると2人は「よせよオリバー」「皆が僕らに惚れちゃうだろ」と照れるフリをしながらジョークを飛ばしあった メンバーが去ると計った様にロンとハーマイオニ−の2人が病室へと入ってきた 2人はハリーに「もぅ大丈夫なのか」「いつ寮に戻れるのか」とだけ聞いてその後はマダム・ポンフリーが2人を追い出すまで今日あった「魔法薬学」でネビルがネズミの背骨を余計にいれてスネイプがいつもの様に怒った事、ハーマイオニ−がそれを手助けしてまた5点引かれたこと、マルフォイが意地の悪い顔をしながら「ポッターはどぅしたんだ。とうとう退学させられたか」とニヤニヤ笑いながら聞いてきたこと、ムカツイたロンがこっそりマルフォイの鍋に蜘蛛の足をいれあからさまに違う色になってしまった薬にスネイプが顰め面をした事などを延々と喋り、笑い続けた もぅ、夢は見なかった 次の朝大広間に戻ったハリーに、ジョージは自分の横をハリーの為に空け、その場へと誘った。 「おはようハリー」 「おはよう」 近くにいたハーマイオニ−とロン、フレッドとも挨拶を交わす 久々にすっきりとした朝だった 後ろのスリザリン生のテーブルからマルフォイが残念そぅに「何だポッター、まだ退学になっていないとは驚きだな」というのが聞こえたが無視を決めた 横にいたジョージがトーストにマーマレードを塗りながらハリーの耳元にコソリと聞いた 「眠り姫、悪い夢はもぅ見る事はないかい?」 「ぅん…ホント、有難う。感謝してる」 「麗しき眠り姫に感謝されるなど、光栄の至りでございます」 恭しく言ったジョージにハリーは笑って「眠り姫ってのはやめてよ」と笑った それから、というと「また眠れない夜が君を襲ったときには僕らの処へおいで、嫌な夢も見ないほど深い眠りに誘ってあげるから」と囁いた ハリーは照れくさそうに少しだけはにかんだ 朝食の後またもやウッドによって呼び出されロッカールームへ双子と3人で向かう途中フレッドが「そぅいえば」と今思いついたかのようにハリーに向かい直った 「どぅして僕らを避けてたんだいハリー」 「そぅそぅ僕も聞きたかった!何故なんだいハリー」 いかにもわざとらしく真面目くさった顔と語調でで聞いてくる2人に、ハリーは自分の考えが全て知られていることを悟り、顔を真っ赤にして「別に避けてなんかなかったよ」と答えた。それでも2人はハリーを逃がす事をせず更に詰め寄った 「嘘はいけないよハリーあの時君は否定しなかったじゃないか」 「さぁハリー、何でなんだい?」 「〜〜〜ッ」 顔を耳まで赤に染めてハリーは2人を睨み付けた そんな可愛い顔で睨まれても、逆にもっと苛めたくなるなんて言ったら余計怒るだろうか ジョージはわざとらしくフム、と口元に手をやり考え込む素振りをし始めた 「ハリーはあの時楽しくなるのが嫌だった、だから僕らを避けていた」 ジョージはハリーを追い詰めるように殊更ゆっくりと、煽る様に言葉を紡いだ 「ということはどぅいうことかねフレッド君」 「ということはどぅいうことでしょうかジョージ君」 「まぁ確かに楽しくなりたくないのなら誰とも一緒にいない方がいいだろぅ」 「しかしハリーは常に行動を共にする我が弟ロンやお姫様を避けていた様子なんかまるでなかったし、そんな話さえこの耳を掠めなかった」 「つまり避けられていたのは僕らだけだった。それは何故か?」 全くもって判りません!という表情と語調を崩さずテンポのヨイ会話を始める二人に、あくまでも自分の口から言わない限りいつまでもこの話題を断ち切れないと思い、ハリーは先程よりも顔を真っ赤に染めあげながらほとんど叫ぶようにして答えた 「だからッ!!…〜ッ2人といるのが1番楽しかったらからだよ!!」 それだけ言うとハリーは顔を真っ赤にしたままズンズンと先を歩いていってしまった 追いかけるようにして双子が後を歩きながらニヤニヤ顔で「ハリー、僕らのスキかい?」と聞くと、ハリーはピタ、と立ち止り、2人を少し振り返って耳まで赤く染めて拗ねたように唇を尖らせて。 「嫌いだよっ!!」 とはんば叫ぶように言い放った 純情可憐な支離滅裂 恋をした僕らは いかなる時も 勇敢に を モットーにするのだけれど どぅ言う訳か その瞳に弱く その角度に弱い ハリーの答えに2人は噴出すように笑うと先にいるハリーに聞こえるか聞こえないかくらいの声で楽しそうに言った 「僕らなんか愛しちゃってるよ」 |