-----薔薇になって逃げよう-----

#1 わかりやすい恋



愛しく、こんなに愛しているのに



#1 わかりやすい恋



「どうしたいんだい同朋よ、こんな時間から何もせず君がベットに横たわっているなんて!」

昼間から自室で枕につっぷしている男に
同じ細胞から生まれた同じ声の持ち主にわざとらしい、驚いた様な声をかけられた

「ジョージ…」
「まるでスネイプにセクハラでもされた様な顔だぜ」
「そっちのがまだましさ…」

はぁ、と溜息をつきながらフレッドは枕から顔をあげ、ベットにゴロン、と仰向けになった
横にジョージが腰掛けるとフレッドは低いおかしな角度に傾斜した天井を見上げながら、
ボソリと呟いた

「避けられてるんだ」

主語も何もない言葉。けれど、2人には十分すぎる言葉

「誰に?」
「ハリー」

言うと、ジョージは少し驚いた顔をした

「何で」
「知ってたらこんな悩んでないよ」
「そりゃそぅだ」

あのあまり人に興味を持たず感情をめったに露にしないハリーがマルフォイ・スネイプならいざ知らず、同じグリフィンドール生、しかも同じクィディッチのメンバーで親友ロンの兄であるホグワーツの悪名高い有名人もとい人気者でもある双子の片割れフレッドを避けるなんて、珍しい、どころか有り得ない話だ。
そんな事をフレッドの横で呟いてみても、フレッドは「でも避けられてるんだ」としか言わなかった

「ホントに避けられてるのか?気のせいじゃなく?」
「絶対避けられてる。
だって一昨日一緒に風呂入ろうって誘ってもロニ−と入るし
その後僕のベットに誘ったらロニ−の部屋で寝るっていってホントにそぅするし
昨日の朝だってオハヨウのキスしようとしたら思いっきり逃げられたし
昼に遊んでた時も後ろから抱きついたら突き飛ばされたし
夜は夜でちょっと2人きりになったら急にオロオロしだして君やロニ−を目で探しだしたし
今日の朝に至っては僕を見るなりいきなり踵を返したんだぜ?!」

言ってて哀しくなってきた…と呟いてフレッドはベットシーツで涙を拭うフリをしながらジョージに背をむけた

「ちょっと待ちたまえフレッド君」

今まで同朋の話を静かにただ聞いていたジョージが、いきなりベットから立ち上がって、フレッドの肩を掴み無理やりこちらに向かせた

「何。ハリーにでも変身して僕に抱きついてくれるのかい?」
「酷い抜け駆けだなフレッド。僕の知らないトコロでそんなにハリーに手をだしていたとは!」
「何を言う我が同朋よ!僕がいつそんな事をした!」
「してるじゃないか一昨日からずっと!」

心外だといわんばかりのフレッドにジョージは何を言ってるんだこの男はという目でみてきた
自分だってまともにハリーに手を出した事は数えるくらいしかないのに自分の片割れときたら隙さえあえばハリーに手をだそぅとしている
これを抜け駆けと言わずなんというのだ。

「兎に角、ハリーに対する行動を慎んでくれ。君が避けられると否応なしに僕まで避けられてしまう可能性があるんだからな」

生みの親の母親でさえフレッドとジョージの区別がついていないのだから会って間もないハリーには、当たり前の話。
それこそ見分けろという方が無理難題だ
だからもし今本当にフレッドがハリーに避けられてるのであれば、同じ顔同じ身体同じ声同じ細胞の持ち主であるこの自分がフレッドに間違われて避けられる可能性は十分ありうる。それこそ毎日ハリーに会うたび「自分はジョージだ」と主張しなくてはならなくなる。
自分だってハリーが好きなのだ。そんなことになったら耐えられない。
なのにフレッドはチラリとこちらを見てこんな事をいう

「僕が避けられてんなら君も避けられればいいんだ」
「〜〜〜ッ」

まるで子供だ。
確かに僕らの中ではフレッドの方が子供っぽいと言われてはいるけれど
こんな科白はおもちゃを欲しがる3歳のガキが言うのとまるで変わらない
しかもそんなトコをハリーには見せようとしないで、飄々としている
質が悪い。我が同朋ながら、関心するね。


しかし関心してみたところでいつまでもこんなフレッドの相手をするのは嫌だし、ハリーにいつ間違われて避けられるとも限らないこんな状態は、今のジョージにとって有難くない状況で。
ひとつ、溜息をつきながら。

「オーケィ同朋。こぅしよう。僕がハリーに理由を聞いてきてやるよ。確かに多少スキンシップが過剰なだけでハリーに避けられるのは僕も納得がいかないからね」

ジョージがだした妥協案にフレッドはガバッと起き上がり、愛すべき同胞ジョージの手を硬く握り締めて「それだ!!」と叫んだ

「おぉ、我が同胞よ!君がこの世界に僕と寸分違わぬ細胞をもって生まれてきた奇跡を神に感謝する!」



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