-----薔薇になって逃げよう-----

#4 卑怯者の微笑



明らかに 意図的に 形の全てを見せないで



#4 卑怯者の微笑



「…覗き見とは、随分いい趣味をもったなぁフレッドよ」
「知っててハリーにキスするほうがよっぽどいい趣味だと僕は思うよジョージ」

ハリーが恥ずかしさで居たたまれなくなってこの丘を後に下のはほんの数分前のこと
ジョージは木の根元から腰をあげることもせず隣の木を見もせずに言った
バサッ、と。軽やかな身のこなしで枝から身を投げ隣の木の根元に着地成功した自分と同じ顔をした男。
その顔には、私不機嫌です!と大きく油性マジックででも書かれていそうだった。
きっと、自分があの時部屋からでていった時も、こんな顔をしていたんだろぅと思うと笑いがこみ上げてくる。


「いつから気づいてたんだ」
「そっちこそいつから見てたんだ?」
「最初からずっとだ」
「僕もだフレッド。まがりなりにも君の同朋だ。舐めないで頂きたいね」


先程の立場とは大逆転
全く逆になった立場にフレッドは苦々しく舌打ちをした

「勝負はフェアに。ハリーを好きだと気づいた時君が言った言葉だぜフレッド」
「人の目の前でキスをすることがフェアだって?」
「僕の名を語ってハリーに近づいただろぅ?軽い仕返しさ」


どこが軽い仕返しだ。
あんなショックな目にあったのは自分が見つけたハリーポッターその人のちゃっかり親友に納まっていたロンを見た時以来だ。いや、むしろそれ以上と言っても過言ではない
ホントにこの同朋は…我が同胞ながら尊敬に値する
緻密で狡猾で計算高く自分より幾分か大人な笑い方をするジョージ。1番敵にまわしたくないと思っていたのに1番最初に敵にまわしてしまった愛すべき同胞。いっそ憎いくらい。


「ハリーはどうやら、気づいたようだね」

そんなフレッドの心中を知ってか知らずか、ジョージは先程手のひらから零れ落ちた花びらを一片つまんで口付けた


「…気づかせたんだろ」
「そぅでなきゃ、キスした意味がないからね」

飄々と、そんな事を言ってのける
フレッドはよっかかっていた木の根元にわざとらしく腰を下ろすと、ポケットの中に手を突っ込んで不服そぅに唇を尖らした

「一気に形成逆転だ。ハリーは君の事を意識した」


そんなフレッドを横目で見て、ジョージは思う
きっと、ハリーが最初に意識したのはフレッドだ
フレッドに手を出されて、ハリーは恥ずかしさからフレッドを避けていた
何で恥ずかしいのか、判らぬままに。
それを恋だと、気づかぬままに。

そんな自分の恋の立場を危うくする様な話は、フレッドにもハリーにも、教えるなんて馬鹿はしてやらないけれど。


未だ不服そぅに唇を尖らしたまま、そんなジョージの思考を知る由もないフレッドは苛々と腕を組みながら言った

「だいたいなぁ、何だよ最後らへんの科白!まるで誘導尋問じゃないか!」
「そぅかい?僕は唯疑問を口に出したまでだけど」
「それが誘導尋問だっての。あんな事言われてハリーがNOと言える訳ないだろ」

「…まぁね」

ニヤリ、と言いながら常に無い程の悪質な笑みを耐えたジョージに、予想していた返事とはいえフレッドは愕然とした

「今日の夜からハリーに避けられまくるぜ。覚悟しとけよ」
「君がそぅしたんだろ」
「その前に君はずっとハリーに避けられてたんだから同じ事だろぅ」

ニヤリと、マルフォイのそれとも似てる何処か優位に立った様な意地の悪い笑みを耐えた唇
自分はきっと、こんな顔をした事がないだろぅ
彼が本当に時折見せる、憎たらしいまでのその笑み


それから、と言ってジョージは腰をあげ言った

「ハリーのファーストキスの相手、自分だって思ってるようだけどそれは大いなる間違いだよフレッド。学園にいた頃、談話室で1人眠っていたハリーを見かけて僕が何もせずにハリーをベットに運ぶと思うかい?」



丘を去る直前、更に愕然とした悲痛な声で叫ぶフレッドの声が、遠くで聞こえた気がした

「…っこんの…ッ卑怯者――――――っっ!!!!!」



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