無関心を装った幼い愛を乗り越えてようやくここまではきた #6 哀しい泡沫 「……僕、2人のどっちかを選ぶ事なんてできないよ…」 それが、その次の日僕らを呼び出してハリーが言った第一声だった 「…それは、僕達が『同じ』だから?」 「…違う」 フレッドが少し目を伏せて哀しそぅに言葉を紡いだ しかしハリーはゆるりと首をふって、それでもはっきりと言い放った 「じゃぁ何故?」 「………」 ジョージの問いに、ハリーは目を伏せたまま答えない 「2人共、好き?」 フレッドの問いに、ピクン、とハリーの肩が揺らぐ 「どっちかを選べないのは、二人のことを同じくらい好きだからかい?」 ジョージの答えのような問いかけに、それでもハリーは目を伏せたまま何も言わなかった 「…ハリー?」 咎めるような、フレッドの声 「…ハリー、先に言っとく。いくら仲のいい僕達にだって、共有できないものはあるんだ」 「…それが君なら余計にねハリー」 フレッドの科白に、静かにジョージが後を続ける 「…違う。そーじゃ、ないんだ…」 搾り出したように聞こえた声は、今にも泣きそうで。 それでも2人にとっては、彼の隣にいられるかもしれないこんなチャンスは逃せるはずなく 「…でも、僕、」 「2人共好きだは無しだ」 「…ならいっそ、振ってくれた方がまだましだ」 言い淀むハリーに2人はきっぱりと言い放った 「………そんなこと、できないよ…」 目をギュッと瞑って拳を弱く握る ハリーが、困っている 「…ハリー、僕達の事、君はそぅいう意味で好き?」 「…うん」 「ちゃんと、言葉で言って」 あの日の、ジョージとの会話 全く同じ質問に 返ってきたのはあの日とは違う答え 「…好き…」 「…それは…どっちを…?」 「………」 「ハリー、言って」 「………ジョージが、好き…」 躊躇がちに、彼はそぅ云った 「っっっ!」 目を開けてみるとあたりは闇に囲まれた静寂しかなかった 「フレッド?」 片割れの異変に気づいたのか、ジョージは身をおこして隣で眠る彼の前髪を指先で優しく梳いた。ほんのりと汗が滲むそれにジョージは気遣わしげにもぅ一度同朋の名を呼んだ 「…悪い、起したか?」 少し荒い息遣いの中フレッドは静かに言葉を紡ぐ 「いや…ちょっと、ね」 言葉を濁すようにジョージは言った ジョージに髪を梳かれたまま、フレッドは眠るように目を伏せて静かに口を開いた 「…夢、見た」 「…どんな」 「最低最悪な夢さ」 「それは奇遇だな。…僕もさっき実はそれで目がさめたところさ」 「どんな…?」 「さぁ…案外君と同じ夢かもなフレッド」 クスリと笑ってジョージは肩を竦めただけだった 相変わらず、自分の弱いところを出さない男だ 「僕のはきっと君より酷いぜ。ヘタすると正夢行きになる」 「僕もさ。逆夢であることを願いたいね」 もしかすると本当にジョージが見た夢は自分と同じなのかもしれないと思った 双子特有のシンパシィ 同じ夢を見る、そんな事はざらにあった。 「なぁジョージ」 「ん?」 「ハリーは、僕らのどっちを選ぶかな」 「さぁ、僕じゃないかな」 「ぬけぬけとよっく言うぜ」 「でも君も、そぅ思ってる。だろ?」 「……さぁね」 あんな夢を見た後じゃ、言い切ることなんて出来やしない 「おやめずらしく随分弱気な発言だなフレッド」 「僕は繊細だからね。君みたいに鉄の心臓じゃないのさ」 「失敬な。僕だって繊細さ」 「その言葉、皆が聞いたら袋叩き決定だな」 その後ひとしきり笑ってからジョージに再度のオヤスミを告げ彼に背中をむけて寝た 今は、彼の顔を笑って見るには限度があった 「なぁジョージ」 「まだ寝てないのかい?」 「君こそ」 「…で?何だい?」 布団に潜ってから5分隣から呼ばれた声にジョージは少しビックリしたようだ その彼の科白の揚足をとるように言ってやると彼は少し拗ねた様だった フレッドはそんな彼に背中を向けたまま、ぽつりと喋った 「…まじな話、ハリーが僕らどっちかを選べないって言ったら、どぅする?」 「……」 「…僕は、君とハリーを共有する気なんて、ないからな」 「…同感だな同朋よ。僕もそぅ思ってた」 「いくら君とでも、共有できないものはあるからね」 「それがハリーなら余計にね…だろ?フレッド」 「………あぁ」 奇しくもそれは、夢でハリーに言ったジョージとの掛け合いに似ていた |